ボノボ(ビーリア)とは?
ボノボ(Pan Paniscus)は、霊長目ヒト科チンパンジー属に分類される大型類人猿で、チンパンジーと同じく、現在生きている中で私たち人間に進化的にもっとも近い動物です。コンゴ民主主義共和国(旧ザイール)の、コンゴ川の南側にのみ生息します。
日本には1つの研究施設に飼育されているのみで一般公開はされていないので、ボノボはチンパンジーよりも馴染みの薄い類人猿だと言えるでしょう。外見はチンパンジーとよく似ていますが、チンパンジーよりも華奢で、手足の長い体つきをしていることや、チンパンジーのコドモの顔が肌色なのに対し、ボノボのコドモは顔が黒いことなどで区別出来ます。
外見は似ていますが、ボノボとチンパンジーの社会には大きく違う点が多々あります。例えば、チンパンジーの社会においては、オスがメスよりも圧倒的に強いのに対し、ボノボの社会ではオスとメスの力関係はほぼ対等で、集団で一番力を持つ個体はメスであるケースがほとんどです。また、チンパンジーに比べてボノボではメス間の社会的な結びつきが強く、オス同士は同盟関係をほとんど結ばないことが知られています。チンパンジーでは、グループ間が激しい敵対関係にありますが、ボノボでは、違うグループ同士が出会うと何日間も遊動を共にし、一緒に採食をしたり、毛づくろいや遊びなどを行う様子が観察されます。
ビーリアというのは、ワンバ周辺の住民たちが使うボノボの現地名です。
私たちについて
コンゴ民主共和国の奥地のワンバ村とその周辺地域では、1973年から日本人が主導する野生のボノボの研究と保護の活動が続けられています。ボノボの研究だけでなく、生態・文化人類学的研究や、ボノボ以外の動植物を対象にした研究も行われています。
ビーリア(ボノボ)保護支援会は、ワンバ地域で活動する研究者と、活動に賛同する会員によって構成された特定非営利活動法人(NPO法人)です。ワンバ村周辺(ルオー学術保護区)での野生ボノボの保全活動、キンシャサのボノボサンクチュアリ「ローラ・ヤ・ボノボ」の活動の支援を通じて、絶滅の危機に瀕するボノボの保全に取り組むために設立されました。
ボノボは、20世紀前半に発見されて以来、霊長類やヒトの進化について、さまざまなことを教えてくれてきました。そのボノボが、森林伐採、商業目的の狩猟、そして内戦と、さまざまな理由で存続の危機に直面しています。
戦争は、野生動物に大きな危機になります。森を進軍する兵士は野生動物を食料とし、生活に困った住民は、わずかな現金収入のために野生動物でも捕まえて食料にしたり売ったりします。1991年から2000年代まで続いた内戦の影響で、現在の野生のボノボの生息数はすでに1万頭を大きく割り込み、このままでは絶滅の可能性もあるという推測もあります。戦争が終わった今でも、内戦の終結により再開された資源採掘や木材を得るための森林伐採、そして密猟により、ボノボの生息は脅かされ続けています。
ワンバの
人々の暮らし
ワンバ村周辺に暮らしているのは、ボンガンドと呼ばれる人々です。
「焼畑農耕民」と称されるように、農耕が日常活動の中心になっており、キャッサバをはじめとする農作物を頼った生活を送っています。
その一方でかれらは、農耕だけに従事しているわけではなく、野生動物の狩猟や、野生植物、キノコ、昆虫などの採集、川での漁労など、多種多様な活動を複合的に営む「森のジェネラリスト」でもあります。
幹線道路ぞいの集落で暮らしていますが、森のキャンプに出かけていって、数週間にわたって狩猟採集を中心として暮らすこともあるように、「森と村の二重生活」にも特徴があります。
森を生活の場として資源を手に入れているというだけでなく、ボンガンドは、広く文化的に森と深く結びついています。食べものにかぎらず薬草などの有用な植物の幅広い知識をもっており、動物たちが登場する数多くの民話が語り継がれています。
なかでもボノボは、ボンガンドにとって人間に近い特別な存在です。伝統的にボノボの狩猟が禁止され、長きにわたってボノボとの共存が成り立ってきました。
そもそもワンバ村でボノボの調査がはじまった理由は、そのように住民自身の手でボノボがまもられてきた場所だからでもあるのです。
ボノボの保護活動について
ワンバ村では「ボノボは私たちの兄弟」という住民の意識によって、人とボノボが共存してきました。私たちは1974年から、このような人とボノボの共生関係をサポートする活動を続けてきました。
1980年代に国の内外からの要請でワンバをボノボのための保護区にする必要が出てきたときも、村人を追い出さなくてはならない国立公園にすることには反対しました。1992年に、人もボノボも一緒に住める保護区(ルオー学術保護区)を設立して、ボノボの保護と村人の生活の支援に努めてきました。
ボノボを大切にしてきた地域住民ですが、コンゴの困難な政治経済状況のなかで苦しく不安定な生活を余儀なくされています。生活がおびやかされれば、過剰な森の伐採や密猟に手を出す人々が現れるなど、森やそこにすむ動物も危機にさらされます。
そこで私たちは、住民の生活を支えるために、学校や病院への援助、道路や橋などの交通インフラの整備などの地域支援活動をおこなってきました。ボノボ研究と地域住民は分かちがたく結びついており、ともに手を携えて発展しているのです。
また、保護区の外の近隣地域においても、橋の修繕や奨学金の援助などを行っています。このような活動により、「ボノボのおかげで橋が直った」などという評判になることで、広範囲の地域において、ボノボを大切にしようという人々の気持ちにつながります。
研究活動について
(WCBR)
ワンバ村の周辺には、2020年現在5集団(E1、PE、PW、BI、IY)の存在が確認されています。このうち、E1、PEの2集団について、朝ボノボが起きてから、夕方ボノボが眠りにつくまでの観察を行っています。
ボノボ達にはそれぞれ名前がついています。体にある傷や、顔で覚えていくのですが、観察になれてくると、体つきや仕草を見ただけで、誰が誰だか分かるようになってきます。
Wamba Committe for Bonobo Research (WCBR)はワンバで活動している研究者のグループです。ボノボの研究だけでなく、生態・文化人類学的研究や、ボノボ以外の動植物を対象にした研究も行っています。
研究やワンバでの生活の報告は、SNS (facebook, instagram, Twitter)で随時行っております。
ご寄付のお願い
ボノボを守るために
私たちはコンゴ民主共和国の奥地のワンバ村で、1973年から野生のボノボの研究と保全活動を続けてきました。ボノボや森林の保護には、ボノボがいかに貴重な生き物であるかを語るだけではなく、ボノボを守ることが住民自身の利益になることを伝え、実際にそのような活動を展開していく必要があります。現在は、ワンバ村とその周辺での病院・学校の建築や橋・道路の修復、子供たちへの奨学金の交付や学用品の援助、医療品の寄贈、地域住民への持続的な森林利用の重要性を啓発する活動などを行っております(活動の詳細のページ)。
このような活動は民間の助成金や、皆さまのご寄付をいただくことで行うことができております。どうぞ温かいご支援をお願いいたします。
クレジット決済でのご寄付
こちらの決済フォームからのご寄付をおねがいいたします("Donorbox"提供のクレジット決済フォームに飛びます)。Visa, Mastercard, American Express, JCB, ダイナースクラブ, ディスカバーの各カードでの決済が可能です。匿名でのご寄付も可能ですが、よろしければご記名ください。金額は自由に設定できます。一回ごとのご寄付と、毎年の定期的なご寄付が選択できます。
決済に使用されたメールアドレスに、ご寄付のお礼としてボノボの写真を差し上げております。また、ニュースレターが発行されましたらお送りします。
ボノボの孤児保護施設ローラ・ヤ・ボノボへのご寄付をご希望の場合、選択肢でご指定ください。野生ボノボとローラ・ヤ・ボノボ半額ずつのご寄付も可能です。
郵便振替、銀行振り込みでのご寄付
郵便振替、ゆうちょ銀行振込先
加入者名: ビーリア(ボノボ)保護支援会
銀行名: ゆうちょ銀行
金融機関コード: 9900
店名: 0八九
預金種目: 当座
口座番号: 0128368
郵便振替: 00820-7-128368
お礼としてボノボの写真を差し上げております。よろしければ、通信欄にメールアドレスをご記入ください。また、ニュースレターが発行されましたらお送りします。
ボノボの孤児保護施設ローラ・ヤ・ボノボへのご寄付をご希望の場合、通信欄にご記載ください。野生ボノボとローラ・ヤ・ボノボ半額ずつのご寄付も可能です。
お問合せ先
〒484-0081 愛知県犬山市犬山官林41-2 京都大学霊長類研究所内
電話:0568 63 0537
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